2006年12月24日

クリスマス特別編「ほしをみつめて」

スタースクリームは いちめんのぎんせかいに たっていました
そらにはゆきがまっていましたが スタースクリームは そのむこうに みえないほしを ずっとみつめていました
スタースクリームがみつめていたのは トランスフォーマーのふるさと、セイバートロンせいでした

スタースクリームは むかしから セイバートロンせいを せいふくすることを ゆめみてきました
かぞえきれないほどのサイバトロンと それとおなじくらいのデストロンを そのやぼうのために たおしてきました
しかし ついにスタースクリームは このちきゅうで 3にんのサイバトロンにつかまってしまい、きゅうみんカプセルにいれられてしまったのです
もうなんかげつ いや なんねんたったことでしょう? でも いまのスタースクリームにとって それはどうでもいいことでした
カプセルのとびらがひらいたとき スタースクリームは じぶんのほんとうのきもちに きづいたのです
デストロンのリーダーになることよりも サイバトロンとのたたかいにかつことよりも スタースクリームはいま もういちどふるさとにかえりたいと それだけをおもっていました

「ねえ きみ トランスフォーマーだよね?」
ふとみると スタースクリームのあしもとに めがねをかけた おとこのこが たっていました
「おまえにようはない うせろ!」
スタースクリームは ふきげんそうに こたえました
「なまえは なんていうの?」
「みみがきこえないのか? それとも ばかなのか? おれは うせろ といったんだ!」
いつものスタースクリームなら ちいさなにんげんなど ふみつぶしてしまうところですが いまは そんなきもちを ふるいたたせることですら おっくうでした
「きょうはクリスマスイブなんだよ そんな くらいかおを していないで もっと たのしいじかんを すごさなきゃ」
「うっとうしいやつだな これがさいごだ ほっといてくれ」
たったまま こたえるスタースクリームですが おとこのこは たちさろうとしません
「いや いやだよ! だって きみはクリスマスのことを しらないだろう? クリスマスのことをしったら きっと きみだって げんきになるはずなんだから」
「ああ! サイバトロンは なんでこんなやつらと なかよくなれるんだろうな? わかったわかった」
そういうと スタースクリームは じぶんのあたまのなかの ちきゅうのことばのデータを ひきだしました
「『クリスマス 12がつ25にち キリストのたんじょうをいわう ねんじゅうぎょうじ かぞくがあつまり プレゼントをおくる』 これでいいんだろう? さあ とっとときえて おれのじゃまをしないでくれ」
「ちがう ちがうよ! そんな きかいみたいなものじゃないんだ! クリスマスのこころというものを きみはわかっていないよ ぼくがおしえてあげるから」
とうとうスタースクリームはおこりだしてしまい おとこのこを てでつかまえました
「いいや、おしえるのはおれだ! あとひとことでもしゃべったら おまえは だいじなクリスマスのひを いきてすごせなくなるってな! わかったか?」
おとこのこは ふるえてこたえました
「わ わかったよ だから おろしてくれないか そうしたら ぼくはうちにかえるからさ」
おとこのこを じめんにおろしてやりながら スタースクリームはいいました
「かんたんにいってくれるよな おまえには いえがあって いつでもそこにかえれるんだからな うらやましいぜ」
スタースクリームは たちさるように ゆびをさしました
「さあ おれにはできないことだ おうちにかえりな!」

しばらくめをとじていたスタースクリームですが
「まだそこにいるのか?」
めをあけると おとこのこは まだ スタースクリームのあしもとに たっていました
「う うん ねえ もしきみが クリスマスのほんとうのすがたをみたら きっと もっとたのしくなれると おもうんだけどな」
「やれやれ おまえがそこまですすめるんだったらな」
スタースクリームは ジェットきのすがたに トランスフォームしました
「わあ かっこいい トランスフォームだ!」
スタースクリームは うでをのばして おとこのこを そうじゅうせきに のせてあげました
「ようし! ねえ どこへいくの?」
「さあな おまえがいった クリスマスのこころっていうのは どっちにあるんだ?」
「ええと そうだね このみちにそっていって うんがよければ だれかがプレゼントをこうかんしているのを みられるはずだよ」
「そいつはまちきれないな」
スタースクリームは ばかにしたように いいました
「ばかにしたきゃ してもいいけど でも きみは プレゼントといっしょにつたわる きもちを わからないと」
そうじゅうせきのなかで おとこのこは せつめいします
「それこそが クリスマスの ほんとうの おくりものさ そうやって まずしいひとは やすらぎをもらい ぜつぼうしたひとは きぼうをもらうんだ なにかをあげるってことは さいこうにきもちのいいことなんだよ」
「ふん あげるのは よわいやつらのすること つよいやつは うばうんだ」
そらをとぶスタースクリームのしたで いちだいのパトカーがきゅうにほうこうをかえて スタースクリームのあとを おいかけていきました
「にんげんのかんがえることは サイバトロンとおなじだな」
「すくなくとも きもちだけは すなおにもっていてね」

しばらくとんでいくと いちだいのバスが ゆきみちでとまっているのが みえました
「ねえ あのバス ふきだまりで うごけなくなっているよ おろして」
スタースクリームは ロボットのすがたにトランスフォームして じめんにおりました
そうじゅうせきから ほうりだされた おとこのこも しっかりうけとめてあげます
「ナイスキャッチ! みて バスにのっているのはおとしよりだ たぶんクリスマスのおいわいに むかうところだったんだよ」
おとこのこは スタースクリームのてから とびだしていきました
「きっと このひとたちは このいちねんかん このりょこうを たのしみにしていたんだ でも いま ふきだまりでうごけなくなって みんなこごえてしまっている」
「だから?」
おとこのこのいうことは スタースクリームにはよくわかりませんでした
「だから バスをうごかして たすけてあげるんだよ それがきみからのクリスマスプレゼントになるんだ!」
「だけど それで おれにどんなとくがあるんだ?」
「ぼくをしんじて やってみればわかるよ きっとおどろくよ」
スタースクリームがバスにてをかけた そのときです スタースクリームのうしろからちかづいてきたパトカーが ロボットにトランスフォームして スタースクリームに じゅうを うちました。
「てをはなせ デストロン! にんげんたちよ もうだいじょうぶだ このストリートワイズが たすけにきたぞ」
プロテクトボットの げいげきいん ストリートワイズです
「うんがよかったな スタースクリームが わたしのうえをとんだときに やつをスキャンしたんだ」
ストリートワイズは じゅうで さらにスタースクリームをこうげきします
「ついてないな スタースクリーム にどと ひとさまに めいわくをかけられないように してやるぜ!」
「ちっ あのガキの いうことをきくのに いそがしくて こいつが ちかづいてくるのに きづかなかったとはな」
しかし スタースクリームも デストロンのつわものです
「もっとも サイバトロンひとりをスクラップにするのに ておくれなんてことはないがな」
りょううでのナルビームで はんげきです
「おっと じゅうではかなわないか」
ストリートワイズは あわててよけました
「だが カーモードなら スピードは うえだぜ」
パトカーにトランスフォームして ナルビームをかわします
「そして ちかづいたら こんなことも できるんだ!」
ロボットにトランスフォームしたストリートワイズの たいあたりで スタースクリームは はねとばされていきました
「かみさま おお こんなちかくにまで」
「そうじゃ まさか あいつらが ことしのサンタのかわりじゃあるまいな」
バスのなかのおとしよりは ちかくでたたかう スタースクリームたちのすがたに いきたここちが しませんでした
「これでおわりだ デストロン」
とびかかってきたストリートワイズを スタースクリームが けりかえします
「ばかをいえ ストリートワイズ くたばるのは てめえのほうだ」
「やめて! もうやめてよ!」
おとこのこが あいだにはいりました
「このデストロンは みんなをきずつけようとしたんじゃない たすけようとしていたんだ」
おとこのこは ストリートワイズにむかっていいます
「きみがこうげきしてきたせいで このひとたちは もうすこしで けがをするところだったんだよ ぼうりょくで かいけつしようとするなら きみたちのてきと かわらないじゃないか」
「そういうことだ サイバトロン くやしかったら ないてみろ」
スタースクリームは かたてで バスをもちあげて ふきだまりから だしてあげました
「さあ にんげんども おまえたちは じゆうだ」
「いやあ おおきいの たすかったよ」
「15メートルのサンタさんじゃな」
おとしよりたちは くちぐちに おれいのことばを いいました
「し しんじゃられない デストロンが こんなことを」
ストリートワイズは おどろきを かくせません
「ふふん そいつはな」
「クリスマスだからさ!」
スタースクリームのことばに おとこのこが つづけます
「そうか まあいい わたしは このバスが もくてきちにつくよう おくっていこう きみは まだ そのデストロンと いっしょにいるつもりかい?」
「うん ぼくなら だいじょうぶだよ!」
しんぱいそうに パトカーにトランスフォームする ストリートワイズでしたが おとこのこは げんきにこたえました
「ありがとう!」
「きをつけて!」
「よいいちにちを!」
おとしよりたちは おわかれのことばをいいながら ストリートワイズといっしょに さっていきました

スタースクリームとおとこのこは ひろばにある おおきなクリスマスツリーのまえに やってきていました
「わかったでしょう だれかに なにかをしてあげると じぶんも しあわせなきもちになれるって きっとこんどは きみが だれかにたすけてもらえるばんだよ」
「そいつはどうかな」
「そんなこといわないで あのバスのひとたちが おれいをいってくれて きみもうれしかったでしょう」
スタースクリームをはげまそうとする おとこのこでしたが スタースクリームのへんじは つめたいものでした
「かんちがいするな おれはただ あのサイバトロンに はじをかかせてやったのが おもしろかっただけだ」
「ほ ほんきじゃないよね? きみにとって あのできごとは それだけのためだったの? ぼくには なんていったらいいのか わからないよ でも」
いつのまにか おとこのこのめには なみだがあふれていました
「メリークリスマス」
おとこのこは ただ それだけを くちにしました
「ふん」
スタースクリームは おとこのこをのこして ひろばから でていこうとします
でも さいごに すこしだけ ふりかえって こういいました
「そうそう メリークリスマスだ ぼうず」
そのとき ゆきがイルミネーションのひかりをうけて うちゅうにかがやくほしになったかのように おとこのこには みえました

(おわり)
posted by シグマ at 23:47| Comment(1) | TrackBack(0) | コミック翻訳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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